「ノー・ライン・オン・ザ・ホライゾン/U2」 09年 評価3
U2のアルバムは93年の「ZOOROPA」以降、消しかどうかの境界線上をさまよっており、本作も発表から約2年がたったあと、Amazonのカスタマー・レビューで「今までと違う」とか「聴いてて気持ちいい」とかの評価があったため、ブルース・スプリングスティーンの「マジック」という例もあったことだし、購入してみた次第である。
確かに今までとは違う。その要因は今までのU2のアルバムでは聴かれなかったような音がたくさん塗してあることと、ボノのより官能的、感情的なボーカルである。そのこと自体は良い。しかし問題は、これまでとリズムやメロディ自体が大差ないということだ。その印象は、上記の相違点がなければ、収録曲の半分は、近2作の変哲のないどれかの曲と入れ替わっても全く気がつかないだろうとさえ言えるくらいで、せっかく買ったばかりだが消し対象になってしまう。
ロック界の大御所に、素人だからあえて申し上げる。確かに作り出す音とロックスピリッツとロックに取り組む真摯な姿勢はダントツであるが、メロディ・メーカーとしての才能は並程度である。残念ながら、よっぽどの批評が出なければ、今後は買わないグループになってしまった。